ブックタイトル実装技術7月号2014年特別編集版

概要

実装技術7月号2014年特別編集版

49　全体としては緩やかな回復が続いているといわれる米国の経済であるが、エレクトロニクス産業においては、短期的に不安定で踊り場的な状況が認められ、業種によって異なる動きになっている。昨年6 月?11 月に大きく業績を伸ばしていた北米の半導体産業は、一転して縮小傾向となり、4 ヶ月連続で減少となっている。ただ、3 月の減少率は相対的に小さくなっている。関連して北米の半導体製造装置産業の需給も不安定な動きになっている。北米のEMS 産業も低迷が続いており、3ヶ月続けての微減となっている。一方で3ヶ月ほど低迷していた大型コンピュータを含む産業用電子機器は、3月になって著しく増加している。底から一気にピークまでの急騰で、通常の季節要因による変動の範囲を越えている。PC は長期縮小傾向が続いており、メーカー最大手のHP社は、大規模な人員削減を余儀なくされている。3月の北米プリント配線板出荷額は、前月から18.9％の急増となっている。前年同月比でも4.8％の増加である。例年でも3 月は出荷額が増大する傾向にあるが、今回の増大は通常の季節要因による変動範囲を越えている。一方、受注額も前月から20.9％の大幅増加で、3月のB/Bレシオは0.02上昇して1.01となり、プラス成長の領域に入ってきている。しかしながら、前年同月比では5.5 ％の減少で、5 ヶ月連続でのマイナス成長となっている。　3月の台湾上場プリント配線板メーカーの出荷額は403億台湾ドルで、前月比では25.4％の大幅増加となった。旧正月休暇による2 月の大幅減少をほぼ回復したことになる。前年同月比でも8.6％のプラス成長となっており、しばらく続いていた低迷状態から、順調に回復へ向かっていることをうかがわせている。ただし品種による違いは小さくない。リジッド配線板は、前月比では23.9％の増加、前年同月比では6.7％の増加となっており、昨年のピーク時のレベルをほぼ回復している。一方、フレキシブル配線板は、前月比で32.9％の大幅増加、前年同月比では18.8％のプラス成長を維持している。しかしながら、それまでの4 ヶ月の連続減少の幅があまりに大きかったために、昨年のピークレベルまでには、まだギャップがある。リジッド配線板メーカー大手Unimicron社の3月の出荷額は、前月比で24.4 ％の増加となり、50 億台湾ドルを越え、台湾での配線板メーカートップのポジションを維持している。しかし、前年同月比では2.8％の減少となっており、年初からの累積出荷額では依然としてフレキシブル配線板メーカー最大手のZD Technology社に次ぐ2 位である。4 月以降は、ZD Technology 社の出荷額の急回復が見込まれ、単月の出荷額でも、同社がトップに返り咲くものと予想される。このような台湾プリント配線板産業の上下動は、旧正月休暇による影響の他に、スマートフォンやタブレットPC の新機種の立上げが寄与しているものと考えられる。一方、主要用途であるPC 向けの製品は、依然として低迷が続いており、先行きは不透明である。しかし、大手メーカーでは下半期の見込みについては楽観的で、今年度中に生産能力拡大のための設備投資を計画しているメーカーが少なくない。1.151.101.051.000.950.900.850.8014/0114/0313/0413/0513/0613/0713/0813/0913/1013/1113/1214/02 ■北米プリント配線板B/B値40,00035,00030,00025,00020,00015,00010,0005,000014/0114/0313/0513/0613/0713/0813/0913/1013/1113/1214/0213/04■台湾プリント配線版生産額（台湾の上場メーカー）生産額（百万NT$）年/月TPCA統計資料より作成リジッド　　 フレキシブル北米プリント配線板需給動向　2014年3月台湾プリント配線板生産実績　2014年3月