ブックタイトル実装技術7月号2014年特別編集版

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概要

実装技術7月号2014年特別編集版

されています。また、PCI ExpressやUSB3.0など高速シリアル伝送方式の規格でも、このような損失対策として、損失を補うフィルタや高周波成分の出力を大きくする手法を規格に盛り込んでいます。 たとえば、PCI Express のGen1 (2.5GT/s)やGen2 (5.0 GT/s)( ※ 1)ではデ・エンファシス(De-emphasis)と呼ばれる機能が規格化されています。なお、USB3.0はハードウエアの規格はPCI ExpressGen2とまったく同じものです。 逆に、PCI並列バスとPCI Expressはハード的には並列バスと直列データ転送でまったく異なりますが、ソフトウエア的には互換性があり、同じドライバソフトが使えるようになっています。 デ・エンファシスと呼ばれる規格は、ドライバ側で、信号出力の特性を変化させて、損失の影響を補正するものです。 信号がハイからロー、ローからハイへと変化する時には信号振幅を大きくして、立ち上がり/立ち下がりの時間を早くします。これは信号の高い周波数成分が信号の立ち上がり/立ち下がりの時間を早くする成分だからです(図6)。損失により信号の高い周波数成分が減衰して立ち上がり/立ち下がりが遅くなるのを補正するため信号振幅を大きくします。 それに対し、ハイやローが連続して信号の場合、信号に高い周波数成分が含まれないため、電力消費を少なくするため、信号振幅を小さくします(図7)。 信号を小さくするのでデエンファシスと呼ばれます。また、ドライバ側であらかじめデータ出力時に、減衰の効果を見込んだ処理をしているため、プリエンファシス (Preemphasis)とも呼ばれます。 信号速度が2.5 GT/s のGen1ではエンファシスの大きさは?3.5db ですが、さらに高速なGne2(5.0GT/s)では損失が大きくなるため、Gen1と同じ?3.0dbに加え、?6.0db の設定も用意されています。 さらに高速なGen3(8GT/s)になると、ドライバの特性を ?3.5db、?6.0db、に加え、?2.5db、?4.5dbときめ細かく設定できるようにすると同時に、レシーバ側にもフィルタを挿入し、ドライバとレシーバの特性の組み合わせで、損失による信号の歪みを補正できるようにしています(表1)。2. IBISモデルと  伝送線路解析 伝送線路解析にはIBISモデルが広く使われています。 IBISモデルを使った伝送線路解析では、解析精度が問題にされることもありますが、モデルのバージョンアップに従い、徐々に精度の問題も改善されてきました。 圧倒的な解析速度の短さ、モデルの普及と入手の容易さ、扱いのやさしさなど、IBISモデルの優位性は数多くあります。 しかし、急速に普及してきたPCI ExpressやISB 3.0 のSI 解析に対して、IBISモデルを使った解析ではうまく行きません。 IBISモデルでは、プリエンファシスの解析がうまくできません。つまり、IBISモデルには、前のビットデータと次のビットデータが同じデータが連続しているのか、ハイ/ローが切り替わっているかで、ドライバのモデルを切り替える機能がありません(図8)。 また、IBISモデルはデジタル信号の伝送線前田真一の最新実装技術 あれこれ塾45図図7 デ・エンファシス8 信号のビット列によりドライバ特性を切り替える機能図6 高周波成分が信号の立ち上がりを早くする立ち上がりが早い立ち上がりが遅い高い成分が小さい表1 PCI Express 規格(出力フィルタ規格)(PCI Express Basic Specification Revision 3.0 Noverber 10,2010)強いドライバ弱いドライバ