ブックタイトル実装技術7月号2014年特別編集版
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実装技術7月号2014年特別編集版
27すことになる。 有機半導体は無機半導体とは違い、有機分子がファンデルワールス力で凝集して固体になっているので、電子や正孔の移動には分子間をホッピングする必要があり、無機半導体ほどの高い移動度は得られない。N 型、P 型とよばれる場合も、多数キャリアとして電子や正孔が存在するわけでなく、電子や正孔が注入しやすいという意味である。有機半導体でトランジスタを作ることはできるが、無機半導体に比べて扱う電流量や動作速度はかなり劣る。 有機半導体の大きな特徴は、プラスチックフィルム上に印刷で回路が作れることで、プリンテッドエレクトロニクスという新しい産業が生まれる可能性がある。①安価なこと、②曲面や折り曲げが可能、③きわめて軽い、④衝撃に強い、といった面白い特徴を生かした新しい用途が考えられる。人体に張り付けたり、衣服に縫い込んだりするウエアラブルや、センサ類と結合してバイオなどにも面白い用途が期待される。もちろん、有機EL の照明やディスプレーにも期待される。3. 発表テーマの紹介(1)くし型電極を有する ボトムコンタクト型OFETのペンタセン膜厚依存性 <発表者:東工大総理工、TMEC、分析工房> もっとも一般的な有機半導体であるペンタセンを用いて、その厚さを増すとドレイン電流がどの程度増加するのか実験している。作成した資料は、図3 のようなボトムコンタクト型OFETで、くし型構造にしてゲート幅16mm、ゲート長28.5μmである。ペンタセンが20nm の場合、VD=10Vで、ドレイン電流は1pA/μmときわめて小さいが、ペンタセンが50nmだと10pA/μmと向上した。(2)プラスチック基板上に作製した 印刷型高分子TFTの曲げ応力耐性 <発表者:山形大ROEL> プラスチック基板上にフレキシブル有機TFTを作り、曲げた時の特性変化をみると、蒸着型低分子では電極との接触抵抗が大きくなるので、今回は高分子半導体で実験した。 図4 のように、PENフイルム上に平坦化層を塗布し、ゲート電極としてAlを30nm 真空蒸着し、ゲート絶縁膜として架橋PVP(Aldrich)を300nm スピンコート、130 ℃、1 時間焼成した。ソース/ドレイン電極として銀ナノ粒子インクをインクジェットでパターンニングし、150℃、1時間焼成し、最後に高分子半導体(PB16TTT)を50nmドロップキャスト成膜した。 結果、4mm径の曲げに対して、コンタクト抵抗はまったく変化なく、AFM 像のチェックでも変化がないことが確認できた。(3)閾値電圧制御された 有機トランジスタから成る疑似CMOS回路 <発表者:神戸大、東大ナノ量子機構、東大生研>図3 くし型電極ボトムコンタクト型OFETの構造図4 印刷型高分子TFT図2 ベンゼン分子のπ電子の挙動