ブックタイトル実装技術7月号2014年特別編集版
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実装技術7月号2014年特別編集版
19熱設計における熱流体解析技術設計・解析・シミュレーション34トモデル(熱回路網モデル)への変換機能を利用することで、計算コストを抑えたパッケージモデルの取扱いが可能になる。本ツールは、当社ホームページ1)から無料でダウンロード、使用することができる(コンパクトモデルの作成に限る)。パッケージの詳細形状モデルを作成する上での課題として、パッケージの内部構造の寸法が公開されていない場合、設計者が入力できないという点がある。これに対する一つの解決策として、デバイスメーカーが内部構造に関する入力を行って作成したコンパクトモデルをユーザーに提供することで、内部構造を非公開にしたまま高精度な実装部品モデルを提供することも可能である。 基板のモデリング 近年の電子機器は小型化、静音化が要求されるため、部品は非常に限られたスペースの中で自然対流や熱伝導により外部へ放熱させる必要がある。このような場合、基板は部品にとっての放熱板の役割を果たす。そのため、部品温度を予測するためには基板のモデリングが重要となる。上流設計では、部品レイアウトや配線レイアウトの方向性の検討に利用される。この段階では配線パターンは存在しないため、配線パターンの面積が示す割合、残銅率が利用される。積層材を等価材質にモデリングする機能を利用すれば、基板の層数、銅箔厚み、残銅率を入力することで、熱的に等価な基板のモデリングが自動的に行われる。 一方、下流設計では設計の進んだ基板に実装された部品温度が設計値を満たしているか確認を行うために用いられる。そのため、要求される精度は上流設計よりも高い。この場合、ECADから出力されるガーバファイルをインポートすることで、配線パターンやサーマルビアを直接考慮した計算が可能になる。実際の例として、配線の考慮の有無による違いを比較検討してみる。 図2 は配線層を残銅率でモデル化した場合の基板の温度分布、図3 は配線を考慮した場合の結果を示している。全体的な温度分布は両者に大きな差がないことがわかるが、細かく見ると熱源周辺からの温度の広がり方には差異があることがわかる。配線パターンがいくつかの島に分かれている場合、それぞれの島の間には銅箔が存在しないため熱移動が起こりにくい。これに対して、残銅率を利用した解析では平均的な熱伝導率が利用されるため、このような熱移動に対する指向性については考慮がなされない。そのため、図中の中央左の熱源は配線を考慮することで、右方向へ熱移動しにくい現象が再現されているため、残銅率による方法よりもやや高めの温度になる。逆に右下の部品は熱のあおりを受けないため、低めの温度になっている。ガーバが利用できるのは設計の下流のみであるため、利用時期に制約があるのが難点であるが、最終的な設計モデルの検証や次期製品のための現行製品の詳細な分析などに利用することができる。 熱経路の可視化技術 熱流体解析は解析空間全体の温度や流速を計算するため、実測に比べてより詳細な結果観測を行うことができる。(株)ソフトウェアクレイドル図2 残銅率を利用した基板温度分布図3 配線を考慮した基板温度分布