ブックタイトル実装技術7月号2014年特別編集版

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概要

実装技術7月号2014年特別編集版

13車載電子機器における解析活用設計環境と熱設計設計・解析・シミュレーション4 たとえばハイブリッド車や電気自動車の駆動系では環境が厳しいうえに大電流を扱うため、液冷などの高効率放熱技術も急速に進化しつつある。その一方で運転席周辺のメータ周りやオーディオ、ナビゲーションなどの電装設備は、従来どおり、自然空冷またはファンによる強制空冷が主流だが、快適性の追求により無騒音の自然空冷要求が高まりつつある。このように車載機器における熱設計は一般電子機器以上に重要になっているが、実際の設計現場では、試作して初めて熱問題に気づくケースがまだまだ多い。 設計上流(商品企画段階)でタイムリーに活用するための熱設計ツールが必要である。 図研/ジィーサスでは、試作後対策によるコスト・デリバリー問題を除去するため、試作する前に熱問題に気付き、検討できる環境構築のために、熱設計ツール『サーモシェルパ』を開発した。   設計現場の熱設計とその課題1.本来熱設計を実施すべき時期 「熱対策」は具体的には筐体に通風孔を空ける、ファンを設けるといった、外観やコストに直接影響する方策が必要なため、本来は商品企画段階で検討すべき内容である(図3)。商品企画段階で熱設計の要否とその程度が推定できれば、デザインや原価にその内容を含めることができるため、結果として「想定外の出費や検討期間」が減るはずである。2.熱設計の本質 熱設計といっても実際には「温度」の計算・解析と、求めた温度が許容温度を超える場合の対策検討である。このうち温度計算は「温度上昇=発熱量×熱抵抗」という関係式で計算するが、計算するには対象となる製品や部品個々の発熱量と、系全体の熱抵抗が必要となる。また対策の検討には具体的な熱対策手法(常套手段)とその効果を事前に把握しておくことが必要である。 つまり熱設計とは「温度計算」と「熱対策」で構成され、「部品発熱量」や「熱抵抗」、「対策手法と効果」などの情報を得てそれを加工し、最適手段を選択することが設計作業の本質となっている。3.設計現場における熱設計の課題 上記のように熱設計も他の設計と同じく「情報の収集・加工と選択」が本質であるが、他の設計と異なるのは「発熱量も熱抵抗も相対値であり、回路や構造が決まらないと数値が固定できない」、「熱抵抗は対流や熱放射を扱うためパラメータが多く、また実現象に近づけるためには離散化率を大きくする必要がある」といった課題を(株)図研、(株)ジィーサス図3 製品開発フローと熱検討時期図2 熱解析とのインテグレーション例