ブックタイトル実装技術6月号2014年特別編集版
- ページ
- 33/44
このページは 実装技術6月号2014年特別編集版 の電子ブックに掲載されている33ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 実装技術6月号2014年特別編集版 の電子ブックに掲載されている33ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
実装技術6月号2014年特別編集版
47 二次電子は試料内部の電子が励起されたものであり、そのエネルギーは数十eV以下と小さい。そのため、二次電子が試料表面に脱出できる深さはせいぜい10nm程度と浅く、試料表面の凹凸の情報を含んでいる。 一方、後方散乱電子は試料内部で相互作用を起こした後、真空中に出てきた電子であり、試料の組成に関する情報をもっている。 最近の走査型電子顕微鏡は焦点調整、非点補正などが自動化されており、専門の操作担当者を必要としない。誰でも簡単に写真撮影が可能な反面、装置の保守やベストの写真を撮影する技術が低下し、SEM写真を正しく解釈する能力も低下している。1. 電子銃 金属を加熱すると表面から自由電子が放出される。電子銃にはヘアピン状に加工したタングステン線が使用される。加熱による金属の蒸発を防ぐために、装置全体(鏡筒)は油拡散ポンプなどを使って真空に保持している。高真空中に保持されていてもタングステンフィラメントは消耗して、約100 時間で切れる。この時、タングステン蒸気が電子線引き出し口であるウエネルトや正極にこびりついて、電子プローブの形に影響を与えて観察に支障をきたすため、定期的に(フィラメント交換時)に清掃しなければならない。同様に、機械的絞り(固定絞り、可動絞り)も汚染されると分解能に影響を与えるため、定期的に交換や清掃が必要である。 はんだ接合部を評価する製造部門、技術部門や品質管理部門では走査型電子顕微鏡の倍率は数万倍であれば十分であり、高倍率の撮影が可能な電界放射型の電子銃は必要ない。2. 電子レンズ 電子線はマイナスの電荷の流れで磁場で曲げられる。この原理を利用したのが電子レンズである。ドーナツ型のコイルの全体を軟鉄で覆ったポールピースの中心に磁束が集まるように工夫されている。ポールピースの中では強い磁場が働いており、電子線がこの磁場を通過するときに細く絞られる。3. 帯電 樹脂、ガラスなどのように電気を通さない試料に電子線を照射すると、マイナスの電荷が試料表面に貯まり、電子線が乱れて満足な写真が撮れない。これがいわゆるチャージアップ現象である。はんだフィレット部にフラックスが残っている場合、その部位が白く光っているのはこの現象が発生している。このような現象が起こった場合は、試料表面を金、白金の薄い蒸着膜で覆うことで、チャージアップを防ぐことができる。4. 二次電子と後方散乱電子 二次電子は平滑な部位では一定であるが、表面が凸であれば二次電子の発生量は平坦部より多く、逆に凹部では二図1 試料から発生する情報図2 走査型電子顕微鏡の構造