ブックタイトル実装技術5月号2014年特別編集版

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概要

実装技術5月号2014年特別編集版

13水系フラックス洗浄技術とVOC規制の動向環境対応の諸動向るあらゆる有機化合物」という明確な基準があり、その基準 4によれば、たいていはある程度のVOCを含む。しかし日本の洗浄剤メーカーもしくはユーザーが独自のリストに従いVOCとしてカウントしている物質ははるかに少なく、そのリストから見ればVOCゼロとなることもしばしばある。なお、余談であるが、欧州においてもVOC物質に指定されるとその物質は使えないというものではない。合計での排出量が一定以下であればよく、極力排出量を削減することが求められている。 周知のように環境規制は厳しくなる一方であり、その基準もREACHやRoHS規制をはじめ、国際的に共通のものを使用する傾向にある。ここまで見てきたように、粗略な日本のVOC規制が共通基準となる見込みはなく、現在は日本ではVOCとはカウントされないことが多いグリコールエーテル系の洗浄剤であっても、将来的には欧州の基準にあてはめてVOCに該当すると判断される可能性がある。事実、日本の単位面積あたりのVOC排出量は欧米と比較して多い(2000 年で4.90 トン/km2、アメリカは同1.91 トン/km2、EUは同3.57トン/km2)。自動車を除外した固定発生源からの排出が高くなっており(2000 年で日本3.53トン/km2、アメリカ0.47km2、EU1.12km2)、先進国の責任として、国内のVOC規制の強化は避けられないであろう。   水系洗浄 水系洗浄といった場合、ゼストロンでは洗浄液成分の半分以上が水であるものを指しており、本稿でもそれに従う。ベースの有機系成分も引火性・環境性・毒性の低いものを使用している上に、さらに半分以下(おおよそ20 %前後)に薄める。そのため作業安全性が高く、VOCの発生量も低い。また水で希釈するためにコスト面でも有利である(※ 2)。 ゼストロンの水系洗浄剤には大きく分けて、『FAST』と『MPC』の2つの系統があり、その特徴はそれぞれ以下の通りである。ゼストロンジャパン(株)表2 VOC規制の日欧比較表1 洗浄剤に関わる法規制※2【水系は洗浄性に劣る?】 よく洗浄に関する書物などでは「水系洗浄は洗浄力に劣る」といった説明がされるが、これは単純に正しくない。注意すべき点としては、洗浄システムが溶剤系・準水系とは違い「溶かす」を主眼に置いていないことである。したがって、洗浄設備や工程パラメータ(温度・時間・撹拌強度など)を調整しなければならない場合がある。溶剤系と同じ工程で溶剤系と同じ評価をすると劣るということであり、水系には水系の洗浄工程が必要なのである。