ブックタイトル実装技術4月号2014年特別編集版
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実装技術4月号2014年特別編集版
これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第37回 携帯機器のコモデティ化を実現する部品技術1. ソニーの決断 個人的には、日本のエレクトロニクス産業は決して競争力が劣ってはいないのですが、ストラテジが無いことが問題だと思っています。 このところ、ソニーの発表がニュースを騒がせました。2月6日にソニーが同社のPCビジネスをVAIOのブランドとともに、日本産業パートナーズ(株)へ売却したニュースです(図1)。 ソニーはWindowsをOSとするVAIOを手放しAndroid OSを使うタブレット、スマホのXpediaに集中するということです(図2)。 これについては多くのマスコミや、知見の方々から多くが語られています。ここでは、実装の立場から、タブレット、ソニーが注力するという、スマホの市場性を見てみます。 2. 先進国のタブレット、 スマホの市場 スマホの市場は大きな変化点にあります。先進国では、スマホのマーケットが飽和し、昨年は、日本でもアメリカでも売り上げが前年よりも減少しました(図3)。ビジネスモデルは、通信業者との契約で、2年ごとに新モデルへの買い替え需要が発生する仕組みになっています。このため、携帯からスマホへの乗り換えなどは多少ありますが、台数は横ばいか微増程度しか見込めません。しかし年々、販売単価が安くなるので、売上高は減少します。 アメリカ家電協会 (CEA=ConsumerElectronics Association) の発表では、スマホの平均単価は2010 年には444ドルであったものが、2013 年には345ドルに低下して、2014 年には297ドルになるだろうとしています。 タブレットについては、すでに飽和しているとの見方もありますが、まだ市場が拡大する余地はあります。しかし、ここでも問題があります。個人ユースでは、タブレット市場の拡大はPC 市場の縮小につながっています。 ノートPCからタブレットへの買い替え需要がタブレット市場の拡大につながっているわけです。インターネットやメール程度にしか使っていなかったPCであれば、タブレットで充分に対応できます。個人ユース市場をメインにしていたVAIOはタブレットのXpediaと競合してしまったのです。PCはWindows、タブレットはAndroidと異なるOSを使うため、PCとタブレットはまったく違う製品になり、競合が生じてしまったのです。 それに対し、Apple社ではPCとタブレット、スマホのハード、ソフトを全て自社で開発して、PCとタブレット、スマホのシームレスな連携を図っています。このため、スマホユーザーを取り込み、PCのシェアを伸ばしています。 ソフト(OS)を他社に依存している他のメーカーではApple 社のような戦略は取れません。そこで、ソニーはOSを一つに絞る戦略を選びました。先進国で飽和したスマートフォン市場を減少させないためには、台数の増加が見込めないので、製品単価を上げるしかありません。電子機器では、コストパーフォマンスは年々下がるので、単価を上げるためには、通常の性能向上以上の性能向上を新製品に織り込まなければなりません。このためには、通常の実装技術の進歩以上の革新的な実装技術を採用する必要があります。図1 ソニーがVAIO 売却のニュース(日本経済新聞 3月2日付け) 図2 ソニーのPCとスマホ、タブレット(ソニーストア ホームページより)52WindowsAndroid