ブックタイトル実装技術1月号2014年特別編集版

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概要

実装技術1月号2014年特別編集版

30スマート・リフロー炉(直熱伝導の積極活用)によるAu:Sn共晶はんだプロセスはんだ関連技術(株)日本オーエルティ リフロー温度とドウェル時間を最小に設定することではんだ拡散を最小に抑える意味でも重要であった。選ばれたプロファイルは徐々にリフロー温度まで上げ、一気に冷却ゾーンを通過する事でSn拡散を最小限に抑えるのが目的である。研究結果でゾーン②とゾーン③の温度調整によりリフローの時間と温度を抑えることができた(図4、図5)。 このプロファイルは、炉を通過する際にパーツを載せるアルミ製キャリアの大きさに、ある程度影響される。 そこで、キャリアの大きさに合わせたプロファイルもそれなりの調整が必要である。急速に冷却ゾーンで温度を下げてもパッケージの一貫性には問題は見られなかった。20個のパーツを極度な温度サイクルで試験をした結果、すべて合格した。図6 にあるように、断面を調べてもガラス層に壊れた個所は見あたらなかった。旧方式のはんだ付け断面と新SIKAMA炉ではんだ付けをした断面をそれぞれとEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometry)で解析した。両方とも結節が見受けらなかった。分析したところ、Au:Snの固まりとわかった。結節の外側は厚膜Au-ガラス絶縁体である。ただ、SIKAMA炉でプロセスした側の方が結節は少なく、旧方式ほどは深くまでSnが侵入していなかった。 図6(a)と図6(b)にあるように、旧方式では結節部がガラス絶縁体層まで入り込んでいたが、SIKAMA炉の方はAu厚膜面の上の方だけにしか見られなかった。これは、温度プロファイルを正確に制御したのとはんだリフロー後、急速に冷却ゾーンで温度を下げた結果と判断した。5.温度サイクル試験 通常、ミリタリーや宇宙機戒用電子部品はミルスペック図4 SIKAMA炉ではんだ付けしたパーツ(MIL-PRF-38534、General Specifications for HybridMicrocircuits)に沿って試験される。新しいハイブリッドデザイン認定のためには、厳しい温度、電気、そしてメカニカル基準を満たさなければならない。中でも温度基準は?65℃から+ 150℃を100 回サイクルを問題なくサイクルし、その後に密封状態が保たれているかが検査される。 今回の実験で製造した20個のパーツはすべてその基準を満たした。さらにロバスト性を確かめるため、5個のパーツを? 100℃から+ 150℃まで徐々に温度範囲を広めて10サイクルずつ調べた。結果は? 100℃から+ 150℃間で1個不良となった。今回の実験でSIKAMA方式の炉で製造されたハイブリッド回路はスペックを十分満たしたことになる。6.まとめ、他の応用例 リング形フレームと厚膜ハイブリッド回路をフラックスレスAu:Sn共晶はんだ付けプロセスをSikama Falcon 5/Cを熱伝導(ホットプレート)式炉で実験した。正確にプロセス温度調整ができ、ワークを固定する治具も比較的簡単で操作性も良く、最適なプロセスに早く到達ができた。これまでのプロセスと比較して再現性も良く、矛盾のない製品をつくることに成功した。これらの実験結果により、これまで以上のイールドが期待できるため、現在は最終認定作業に取り掛かっている。 今回はリング形フレームのはんだ付けであったが、同方法でいろいろなアセンブリ(たとえばリードフレームにも適用できると考える。図7 に示すのは、他の応用例である。