ブックタイトル実装技術12月号2013年特別編集版

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概要

実装技術12月号2013年特別編集版

52これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第33回 損失の影響と解析1.1GHz以下の 信号の損失と損失の影響 一般のFR-4基板の配線では、1GHz程度の速度の信号では損失はそれほど大きくはないようにみえます(図1)。しかし、実際には1GHz 以下の信号でも損失の影響は出ますので、損失の影響を考慮して回路を検討する必要があります。 ここまで、損失の定義に使っていた周波数は、正弦波の周波数です。 正弦波の周波数とデジタル回路で使う方形波の周波数は異なります(図2)。 周波数fの方形波は周波数f、3f、5f、7f、9f ……の正弦波が合成されたものです。 周波数fの方形波は=sin(f)+1/3 sin(3f)+1/5 sin(5f)++ ・・・+ 1/n sin(nf) +・・・で表されます。 図3は周波数1GHz の方形波と、それを各周波数の正弦波に分解した時の正弦波の振幅を表しています。 このように、たとえ1GHzの信号でも、方形波は3GHz、5GHz、7GHz、9GHz、11GHzなど、非常に高い周波数の成分をもっています。この高い周波数の成分は損失の大きな影響を受けます。 方形波の高い周波数成分は方形波の立ち上がり、立ち下がり速度に関係しています。 図4に同じ1GHz の方形波ですが、図3より立ち上がり、立ち下がりが遅い方形波と、その正弦波成分を示します。 図4の方形波は、図3の方形波に比べ、高い周波数の正弦波が急速に小さくなっていることがわかります。 図3 のように立ち上がり、立ち下がりが早い方形波が損失のある配線を伝播すると、レシーバ波形は図4 のように立ち上がり、立ち下がりの遅い波形になってしまいます。これは、高い周波数になるほど本質が大きくなり、方形波の高い周波数成分が大きく減衰してしまうからです。 また、損失は長さにも比例します。配線が長くなるほど、減衰が大きく、波形が鈍ってきます。図5にFR-4 基板の配線に0.5GHzで立ち上がり、立ち下がりの早い信号を印加した場合、15cmと30cm、60cm での波形を示します。立ち上がり、立ち下がりが非常に早いため、ドライバの出力波形は理想的な方形波になっています。しかし、15cm、30cm、60cmと距離が遠くなるにしたがって、立ち上がり、立ち下がりが遅くなり、波形が鈍ってくるのがわかります。特に、60cmの長さでは、信号が立ち上がりきらずに、振幅が下がり気味になっています。 図6は立ち上がり、立ち下がりが遅い信号の場合です。図5と同じような傾向になっていますが、ドライバ信号が遅いため、損失の影図1 FR-4 基板の周波数と損失の関係図2 同じ周波数の正弦波と方形波図3 1GHz 方形波は多くの正弦波の合成図4 方形波の立ち上がりが遅いと高い周波数成分が減る