ブックタイトル実装技術10月号2013年特別編集版

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概要

実装技術10月号2013年特別編集版

53 しかし、信号の周波数が高くなると電流は導体の表面にしか流れなくなります。これを表皮効果といい、導体の表面、電流が流れる深さを表皮深さと呼びます(図13)。 この表皮深さ(δ)は信号の周波数f の平方根に反比例します。  ここで、μとκは各々導体材料に依存する係数で、銅の場合は μ = 4πe?7 κ = 1 /(2e?8)です。 これらの値を使うと、表皮深さは δ=8.5μm(70MHz) δ=2.25μm(1GHz) δ=1μm(5GHz) 程度になります。 基板配線の銅箔厚さは17μm程度なので、信号速度が70MHz以下では銅箔全体に信号が流れ、表皮効果の影響はありません(図14)。実際は100MHz程度でも表皮効果の影響は非常に小さいので無視できます。 しかし、数百MHz以上の信号では表皮効果の影響は無視できません。 ここで、1GHz の場合を検証してみましょう。 一般に基板配線の銅箔はコア材に接している面は銅箔とコアの接着を強くし、銅箔が簡単に剥がれないように銅箔の表面を荒くして機械的な接着強度を増やす加工がされています(図15)。 このように表面を荒くして楔のように基板材料に食い込みせっやく力を高める効果をアンカー(錨)効果と呼びます。 しかし、このように荒い表面には表皮厚さが薄い場合には表面の荒さに沿ってしか電流が流れないため、他の面の信号に比べ伝搬距離が長くなってしまうため、信号の伝搬経路としては有効とはなりません。 幅100μm、高さ17μmで断面積が理想的な方形とした場合(図16)、配線に1GHzの信号が流れる断面積Sは S=100e?6×2.25e?6   +((17e?6?2.25e?6)   ×2.25e?6)×2=291.375e?12(m2)となります。 この断面積で25℃、10cm の配線がもつ抵抗値は 2.23e?8×0.1/291.375e?12 =7.65Ωとなります。 1V、20mA の信号電流が流れると配線による電圧降下は0.153mVで配線による損失Lrは Lr=20log(0.847/1)=?0.072dBとなります。 5GHz では抵抗値は17Ωで、損失は?0.66dBとなります。 ここでは、銅箔は基板コア材との接触面以外は理想的な平滑面としましたが、実際の銅箔では数μmの凹凸があります。この銅箔の表面粗さの効果を考慮する必要があります。<参 考 文 献>1)2.5D Interposers; Organics vs. Silicon vs.Glass by Prof. Rao R.Tummala, Chip ScaleReview July-August, 20132)1999 Packaging DatabookIntel Corporation■マエダ シンイチKEI Systems。日米で、高速システムの開発/ 解析コンサルティングを手がける。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図14 遅い信号では表皮効果の影響はない図13 表皮深さと導体の抵抗値図16 表皮深さが小さい場合図15 アンカー効果