ブックタイトル実装技術10月号2013年特別編集版
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実装技術10月号2013年特別編集版
51減少することが示されています。 電磁放射ノイズやアンテナの放射効率などにもデシベルが使われます。損失が問題となるような高速シリアル伝送方式の規格でもこのデシベル定義が規格として定義されています(図4、図5)。 ここで注意することは、伝送線路の損失に使うデシベルは電磁波などで使う一般のデシベルとは、値の定義が異なります。伝送線路の損失には、信号の電圧振幅(V =ボルト)を使いますが電磁波の強さの単位には電力(W= ワット)を使います。 電力Wは流れる電流I、電圧V、インピーダンスZとすると、 W=I×V=V2/Zとなります。 つまり、電力は電圧の2 乗に比例します。 伝送線路の損失で使う電圧の損失Lは(1)式の電力のデシベルLで定義すると、 Wdb=L2=10log(Vout/Vin)2 = 20log(out/in)・・・(2) つまり、伝送線路の損失による電圧変化は、電力で定義する電磁波での10log(Wout/Win)に対して20log(Vout/Vin)となり、その大きさが2 倍になります。 たとえば、電力が半分になる損失量は-3dbですが、電圧が半分になる損失量は-6dbになります。 たとえば図5のTV信号分配器ですが、この単位は電力で定義されています。 1入力を2つの出力に分配するので、理想状態でも1出力の電力は半分(?3db)となります。分配器内部での損失が?1db あり、結果として、出力は、おのおの?3.5db の損失が出ることを示しています。 このように、dbでの定義は電圧レベルなのか、電力レベルなのかを確認しないと損失量を読み間違えてしまいます。 この損失は損失のある対象をブラックボックスとみて、入力と出力の大きさの比を表しますが、増幅回路などの回路をブラックボックスとして、入力信号と出力信号の増幅比を定義する場合にも使います。この場合は増幅なので、利得(ゲイン)と呼び、デシベル値はプラスとなります。 この場合も20倍を使う電力比なのか、10倍の電圧比、電流比なのかを判断することは重要です。 電磁波や伝送線路の損失の大きさは距離(配線長さ)に比例します。たとえばケーブルの損失などをハーネスの長さごとに定義し直すのは大変なので、単位長さ(1m)の損失を定義し、実際の長さにより、比例計算し、損失を求めます。 このような単位長さあたりの損失dB/mを定義する場合もあります。 同様に1mW の電力を基準(0dB)として、電力の大きさを絶対値定義したものをdBmとして表します。 このほか、1Vを基準とした電圧比dBVや1μVrmsを基準としたdBμなど同じdBでもいろいろの定義があります。3.誘電損失と基板材料 伝送線路の損失は誘電損失と抵抗損失と呼ばれる2つの損失があり、その合計がトータルな損失となります。 損失のある伝送路の効果回路で表した図2の回路では、Lと直列に接続されているR成分が抵抗損失、Cと並列に挿入されているR(G)成分が誘電損失となります(図6)。 これらの損失は発生原因は異なりますが、両方とも信号の周波数が高くなると大きくなる性質をもっています。銅をはじめとする導体は、内部に自由電子と呼ばれる電子が存在し、両端に電位差があると、この電子が移動し電流が流れます(図7)。それに対し、FR-4をはじめとする基板に使われている誘電体は前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図6 損失のある伝送線路の等価回路図7 電子の移動が電流図5 PCI Express 規格(デシベル定義)(PCI Express Basic Specification Revision 3.0 Noverber 10,2010)