ブックタイトル実装技術10月号2013年特別編集版
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実装技術10月号2013年特別編集版
50これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第31回 損失1.高速信号の損失 信号が高速化し、100MHzを超えるようになると、『損失』を考慮した伝送線路解析を行う必要があるといわれます。 損失といわれる現象は信号が伝送線路を伝播するとき、信号の一部が熱となり信号のエネルギーの一部が失われてしまうことです。損失は、伝送線路だけでなく無線伝送など、高周波の領域で、良く使われる概念です。 一般的に100MHz 程度より遅い信号は、伝送線路を伝播するとき、損失を考慮する必要はなくドライバから出力された信号のエネルギーは100 %レシーバへ伝達されるものとして考えられます。 このとき、伝送線路の特性インピダンスは信号の周波数にかかかわらず、一定の値をもち、信号の周波数に依存しません。また、配線の長さは、信号の伝播遅延に関わる変数として考慮されます。 図1は損失のない伝送線路のモデルです。これに対して、損失を考慮しなければならないほど高速の信号では、信号の周波数と、伝送線路の長さが大きな意味をもちます。図2が損失のある伝送線路のモデルです。2.デシベル 一般的に損失の定義にはデシベル(dB)を使います。 デシベルは伝送線路への入力信号(ドライバからの出力)と伝送出力信号(レシーバの入力)とのエネルギーを対数で比を取ったものです。 電力エネルギーはワットですから、伝送線路への入力信号の電力をWin(W)、伝送線路からの出力信号の電力をWout(W)とすると、この伝送線路の損失Wは W=10log( Wout/Win)・・・(1)となります。 デシベルは騒音や電磁波の定義にはよく使われますが、伝送線路解析にはあまり使われませんでした。 しかし、高周波信号ではデシベルは一般的に使われています。図3はTV信号の分配器ですが、入力信号に対して出力は各々3.5dB図2 損失のある伝送線路の等価回路図1 伝送線路の等価回路図3 TV 信号分配器図4 PCI Express 規格(出力フィルタ規格)(PCI Express Basic Specification Revision 3.0 Noverber 10,2010)