ブックタイトル実装技術10月号2013年特別編集版
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実装技術10月号2013年特別編集版
41ることになっていた。座長は当時、欧州の半導体メーカーの技術トップ責任者で、このセッションには早くから駆けつけていた。私はセッションのためのOHPプロジェクタの設置を手伝い、さらに照明係もしようと思っていたので、出口にある照明スイッチ近くの座席を確保した。そして座長に、「私が照明係を担当する」という旨を開始前に伝えておいた。 座長の挨拶があり、セッションが開始された。聴講者の何人かは遅れて参加するので、入りやすいようにドアを開けておいた。OHPプロジェクタでの発表であるために照明を消し(※当時のOHPプロジェクタは部屋を暗くして映す必要があった)、発表がスタートした。しばらくすると、会場の外の音が少しうるさいこともあって、隣に座っているドイツ人から、ドアを閉めるように要請された。そこでドアを閉めたところ、このドイツ人は「ありがとうございました」と日本語で御礼を述べたのであった。 これが縁となって、隣人だったこのドイツ人と名刺交換をしようとした。しかし残念なことにこの人は、すでに最後の名刺を、彼の隣の席のフィンランド人の女性エンジニアに渡してしまった後で、「もうなくなってしまった」、という。 そこで私は、そのフィンランド人の女性エンジニアに頼み、ドイツ人の名刺を見せてもらって、私のPC(当時は(株)東芝のミニノートPC『Libretto20』を愛用していた)を開いて、PDICW に、その人の名前を打ち込もうとしたのだが、なんとすでに私の住所録に登録されていたのである。 ドイツ人は、高速で動作する私のPDICW のソフトウェアに驚くと同時に、すでに名前が登録されていることにさらにびっくりしたのであった。 この人物は、ドイツの大手プリント配線板メーカーの社長であった。以前にお会いした認識はなく、すでにPDICWにリストされているのはなぜだろうか……と思ったのだが、その人の項目の備考欄を観ると、スイス・バーセルで開催されたプリント回路大会世界大会(PCWC)の開催前日に、IPC が主催したプリント配線板の世界市場を討議する会議に出席していたことが書かれていた。 そこで、「あなたはバーゼルで開催されたIPC の世界市場会議に出席していたのではないですか?」というと、「論文発表の世界大会には出席し、世界市場会議に出席するつもりでいたものの、緊急の用事ができてしまい、参加できなかった」、というのである。 私は、国際会議などで会議中に配布された出席者リストをPC にその場で打ち込んでしまう、という癖をつけているため、その出席者リストからその方のお名前を拾い出して入力していたのであった。社長は改めて驚くとともに、初めての面識とは思えない、という感じになった。そして、これが縁となって、この会社と定例技術打合会議をもつことができるようにもなったのであった。 これはまさに、PDICWに保存していたおかげである。PDICWに記録して3 年後に、こんな巡りあわせになったのである。そしてさらにこの1年後には、努力が実って、この会社とのビジネスが開始することにもなった。 この話にはさらにおまけがある。 そのドイツ人の社長の名刺は、彼の隣に座っていたフィンランド人の女性から借用したものであったが、この女性の名前も、もちろんPDICWに記入した。 この約1 年後、スウェーデンで開催された実装関係の国際会議EP2000に招聘されて発表することになった。行きの飛行機の中で、セッションごとの発表者の氏名をPDICWの辞書にインプットしていたら、その女性と同一人物の名前の人が、私の参加しようとしたセッションとは違う『鉛フリー』のセッションで発表することになっていることが判明した。そこで、鉛フリーのセッションにも参加し、このフィンランド人に再会した。もし、知らないまま、本来のセッションだけに出ていたら、もうお会いすることもなく終わっていたかもしれない(写真2)。 約1年が経過しているものの、彼女も、ドイツで私に名刺を貸し、また、私と名刺を交換したことを覚えていたので、休憩時間に話すことができた。東洋人の参加は私のみで写真2 EP2000 (会場と鉛フリーセッション)