ブックタイトル実装技術8月号2013年特別編集版
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実装技術8月号2013年特別編集版
55 設計者は、この正のスパイラル・ループで、零戦の機体重量を軽く、抜群の運動性と航続距離を実現したといっています。 これが、正のスパイラルとすれば、DDRメモリICの消費電力と熱は負のスパイラルとなります。 DDRメモリの動作温度が高くなるとメモリセルに蓄えている電荷の運動エネルギーが大きくなり短い時間で放電してしまいます。このため、リフレッシュ動作の間隔を短くする必要がありリフレッシュ動作の消費電力が増大します。 消費電力が増大すればさらに発熱量が増大します(図12)。 実際はDDRメモリの規格ではメモリの動作温度の上限が規格化されていて、この温度で動作することを前提にリフレッシュが実行されています。 つまり最悪条件動作を前提にしているのでそれだけ消費電力的には不利になっています。 携帯機器に使われる低消費電力のモバイルDDRメモリでは温度センサを使い、メモリの温度によりリフレッシュのタイミングを制御する機能を備え、低消費電力動作が可能となっています。4. 熱と電力の コシミュレーション ICの動作と熱には密接な相互関係がありますが、これはICパッケージ内だけの問題ではありません。 IC の動作温度が上昇すると基板の特性にも影響が現れます。ICの動作温度と基板の特性の間にも相互関係があります。 FR4を始めとする基板材料の誘電率や誘電損失(tanδ)は温度によって値が変化します(図13)。 基板の配線やプレーンに使われている銅の抵抗率はやはり温度で変化します(表2)。 電気的な特性から見ると、ICの消費電力が大きくなると電源供給、グランドの配線経路(PDN)での直流抵抗成分が無視できなくなります。たとえば1V の電源ラインでICの消費電力が10Wだとすると、基板上の電源(電源コネクタか、基板上のDC-DC電源)からIC の電源ピンまでの経路には10A の電流が流れます。もし、この経路の抵抗値が1/100Ω(10mΩ)という小さな値でも電圧降下は0.1Vにもなってします。 これは電源電圧の10%で、ICの電源電圧変動許容値(±3 %)よりもはるかに大きな値です。 もし、銅の抵抗値が温度変更により変化するとIC の電源電圧が変化します。 銅は表2 より、1 ℃の温度変化で4 . 4 /1000 の抵抗が変化します(抵抗率の温度係数)。 もし、ICが高速動作して、50 ℃の温度上昇すると、IC周辺の銅の抵抗は22%上昇します。 銅の抵抗が上昇すると、IC の電源電圧降下はさらに大きくなりますし、銅箔を流れる電流での発熱も上昇します。 そこで、新しい解析の手法として、熱解析とPI 解析を連動させる考えが出てきました。最近は、熱解析とPDNに流れる電流を基にしたDC 電圧降下解析を連動させて解析するツールもいくつか現れてきています(図14)。■マエダ シンイチKEI Systems、(株)日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手がける。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図13 誘電体の特性、温度変化(東ソー(株)ホームページ http://www.tosoh.co.jp/division/products/character03.htmlより引用)表2 抵抗率のおよその温度変化図14 熱解析とDC解析の連携(Mentor Graphics)