実装技術4月号2013年特別編集版

実装技術4月号2013年特別編集版 page 27/50

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概要:
33の大きい、貴重な参考図書である。この書籍では『情報』の交通整理の重要性を述べている1)。(1)整理の基本 ●必要とする情報の選択(何を残すか) ●どこに保存するか ( ファイル、電子媒体) 以上は、一番重....

33の大きい、貴重な参考図書である。この書籍では『情報』の交通整理の重要性を述べている1)。(1)整理の基本 ●必要とする情報の選択(何を残すか) ●どこに保存するか ( ファイル、電子媒体) 以上は、一番重要な項目である。将来、使用することを前提に、『何を』『どこに』『どうやって』保存するかがポイントである。 IT 機器の進展によりデジタル化し、情報を保存管理することができるようになった現在は、昔と比較すれば、整理環境は劇的に改善されてきたといえる。 前述の本は発刊後、約10年間で33刷にもなった。それはつまり、情報整理に困った多くの人が同書を参考図書として活用したことの反映なのではないかと思う。同書では情報整理に関して7 つの条件をあげている1)。●情報整理の7つの条件 ①捨てる・集める ②そろえる ③わける ④ならべる ⑤なれる・続ける ⑥組み立てる ⑦活用する この7つの条件を念頭におきながら、以下、順番に重要な点を説明していくことにしよう。(2)センターファイル化 かつて、技術部門に所属して工場に勤務していた時、こんな経験をした。 1 年経過すると担当する顧客が変わるのだが、その際に、前任者から、主な顧客に関する資料なども含めて引き継ぎが完全に行える場合と、多忙などの状況によって引き継ぎが不完全なものとなってしまう場合があった。 そして、引き継ぎが不完全なものとなってしまったことで、いろいろな資料が個人ファイルに埋もれてしまい、また、その顧客に対するせっかくの過去の履歴も、担当者が変わることで不鮮明になってしまうのがなんとも惜しかった。 そこで考えたのが、センターファイル化の導入である。顧客別のファイルを作成して、各自が保有している個人ファイルをすべて拠出してもらい、それぞれの顧客の新しい資料が一番上になるように年代順にファイルしたのである。顧客によっては、1冊だけのファイルではなく、数冊になるものもあった。これだけのものが、数人の個人ファイルに埋もれていたのである。集めてみるとこんなに多くなるのか、と、想像もしなかった結果に驚いたものだった。 このようにしてセンターファイルに集めて作成した顧客ファイルを見れば、過去の経緯を理解することができるし、新たに担当することになっても戸惑わない。センターファイル化の重要性を課全体で理解することができ、以降、その便利さを享受した。 さらに、この成功例を参考にして、その後、同業他社のカタログはもちろん、実装業界の材料からプリント配線板設備、実装機などのカタログ、実験・分析装置カタログ、技術分野別特許/文献などのセンターファイル化を推進し、業務活動の向上に役立て、これが間接部門の業務改善へと繋がった。個人ファイルからセンターファイル化して『見える化』したことが改善点となったのである。(3)ファイル数の管理 資料は溜まる一方なので、時おり維持管理が必要である。 日本では、年末の大掃除が慣例となっているため、この時期に古い資料を処分するのはいうまでもない。年末の大掃除は日本の良い習慣であると思う。かつてドイツに住んでいた時に、年末に大掃除を事務所で実施したところ、ドイツ人からも良い習慣だと褒められた。どうも海外では、このような習慣はないようである。 東京の浜松町に、東芝の本社ビルがある。このビルが完成する前は、森ビルなど都内各所に各事業部や関連会社が分散していた。関連会社同士の会議となると、どこかに参集して打ち合わせすることになり、はなはだ不便であった。そこで、分散する事務所を集約して効率化を図るために、39階建ての本社ビルを建設することになった。当初、これは『727プロジェクト』といわれた。1972年7月までに完成させるプロジェクトという意味である。 計画するにあたって、事業部や関連会社に対し、「どのぐらいの面積が必要か?」というアンケート調査が実施された。その結果、なんと39 階建てのビルがすべて書類で埋まり、人間が入れない、ということがことが分かったのである。それほどに、各事業部並びに関連会社は、多くの書類を保有していたのである。 この事実から解決策として『メートル・ファイル(mF)』という方法があみ出された。各自が保有しているファイルの長さをすべて集計してその合計を算出し『mF』で表すというものである。