実装技術12月号2012年特別編集版 page 35/42
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51 装置が小型化してきたり、信号の速度が速くなってきたりすると電源は基板となります。基板電源は、装置内に他の基板と同様に収納されます。 さらに装置が小型化されると、電源はモジュールとして、小型基板を大....
51 装置が小型化してきたり、信号の速度が速くなってきたりすると電源は基板となります。基板電源は、装置内に他の基板と同様に収納されます。 さらに装置が小型化されると、電源はモジュールとして、小型基板を大型基板の上に実装したり、大型基板の一部の回路として実装されたりします(図2)。装置に100V の高電圧をコンセントから引き込んだ場合、安全規格やノイズ対策などの対応が要求されます。 このため、ノートPCや周辺装置など、消費電力が比較的小さい装置では、電源回路を機外に出し外付け電源装置を使い、機内にはそれほど電圧の高くない直流電源を使用します(図3)。 このような外部電源をもつ装置や、携帯電子機器のような電池駆動装置では低電圧の直流が100ボルトの交流に代わって電源として使われています。 直流電圧は基板上でのLSIごとに小さな直流電圧変換回路で必要な電圧に変換されて供給されています。3.DC-DCコンバータ 昔は多くのロジックICの電源電圧は5Vに統一されていました。その後、消費電力とノイズの低減のため、3.3V系の論理ICが普及し、電源電圧の混在がはじまりました。現在ではICの消費電力を低減させるためと、ICの微細化による絶縁耐圧の低下によりICの内部回路の電源電圧は徐々に低下しています。しかし、IC間のデータ転送や装置外部との信号のやり取りのためのバスでは、IC 間、装置間でのバス規格が決まっています。この規格には、当然、信号や電源の電圧が含まれます。 このように、最新のシステムでは、各LSI の内部回路の電源電圧、各々のバスの電源電圧がばらばらになってきています。当然、システムはこれら多くの電源電圧をすべて供給する必要があります。 電池駆動システムや外部電源から特定の電圧の直流電圧を供給されるシステムでは、供給された直流電圧から多くの直流電圧を作り出します。 このような直流電圧から異なる直流電圧を作成する電源回路がDC-DCコンバータです。DC-DCコンバータの技術進歩により、ノイズの発生が小さく、小さな回路面積で電源が作れるようになり、基板上で、必要な電圧を作る電源回路が多く作られるようになりました。4.電源電圧の安定 また、LSI の動作速度やバスの転送速度が上がるに従い、電源は使用する場所の近くで作る必要が大きくなりました。これは、電源電圧変動にすばやく対応し、電源電圧変動を小さく抑えるためです。 同じ目的で、大きなLSIが共通して同じ電源電圧を使用する場合でも一つの大型電源を多くのICが共通で使用する方式から、おのおのICがおのおの専用の小型電源をもつ方式に変化してきました。 電源装置や電源回路は必ず出力電圧を監視していて、出力電圧を自動的に補正する機能をもっています。電源回路自身も、電源電圧変動を察知してから、電圧を修正するまでの時間を短くする必要があります。 この電源回路が負荷電圧を関知し、出力電圧を変化させ、負荷電圧を正常に回復させる時間を電源のループ特性と呼びます(図4)。 電源電圧の補正を早くするためには、電源回路のループ特性だけでなく電源回路と負荷の距離が問題となります。電源装置と負荷が離れていると、電源変動を捉えて電源回路に伝えるための時間が長くなります。また、電源装置が電圧を修正してもその修正が負荷に届くまでも時間がかかります。 このため、負荷であるICのできるだけ近くに電源回路を配置する必要があります。消費電力の大きなLSIではICごとに専用の電源回路をもち、おのおののLSIの近くに配置します(図5)。 電源回路をICごとに分散してもつとおのおののICによる電源電圧の変動が他のICの電源電圧に影響を及ぼさないようにできます。 このようにICごとに電源回路をもち、おのおの独立させてIC の近くに配置する設計をPOL(Point of Load)と呼びます。5.パスコン LSIの消費電力増大と信号の高速化はLSIの電源電圧変動を大きな問題点としました。 問題が大きくなった原因は以下の3つあります。 ① LSIの消費電力増大と信号の高速化に前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図図4 ループ特性5 LSIごとに電源を持たせるとループを小さくできる