実装技術10月号2012年特別編集版 page 40/48
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46いた。差動線路は、L/S = 110 μ m/140 μ m、ライン長100mmのマイクロストリップである。マイクロストリップ構造の層間厚は、伝送損失に影響を与えることから、一般FPC と新規FPC の層間厚は同等レベルになるよ....
46いた。差動線路は、L/S = 110 μ m/140 μ m、ライン長100mmのマイクロストリップである。マイクロストリップ構造の層間厚は、伝送損失に影響を与えることから、一般FPC と新規FPC の層間厚は同等レベルになるよう50 μm に調整した。 測定結果は図10の通りであり、新規FPCは一般FPCに比べ、表皮効果の影響による伝送損失は10GHz で約2dB低減することを確認した。3.スルーホール接続信頼性 スルーホールのめっき厚は、厚いほうが信頼性面で良好な知られている。一方、表面の銅厚が厚くなると、サブトラクティブ法で外層パターンのエッチングをするとき、ファインパターンの形成が難しくなることや、パターン幅のばらつきが大きくなる課題がある。新規両面FPC は、銅箔がないことから、ファインのパターン形成、パターン幅のばらつきを低減、薄型、軽量化、柔軟性の面で優位性がある。スルーホール信頼性が確保できる範囲で銅めっきを薄くできれば、これらの特性はさらに向上が見込める。ここでは、新規FPCの銅めっき厚がスルーホール信頼性に与える影響を評価した。評価方法は、構造解析シミュレーションと温度サイクル試験を実施した。 構造解析シミュレーションについては、相当塑性ひずみを有限要素法による熱応力解析から求めた。銅を弾塑性体、その他を弾性体と仮定した。温度負荷条件は20 ℃を基準とし、温度サイクル試験の温度範囲で解析を行った。求めた相当塑性ひずみ範囲を銅めっきのS-N線図にあてはめ、スルーホールの破断寿命を算出した。図11に銅めっき厚とスルーホール破断寿命比の関係を示す。スルーホール破断寿命は、めっき厚が厚くなるほど、また層間厚が薄くなるほど良好な傾向となる。図10 FPCの伝送損失( S21) 図11 銅めっき厚とスルーホール破断寿命比の関係 温度サイクル試験は、? 65 ℃(30 分)⇔ 125℃(30 分)とし、前処理として、ピーク温度260℃の鉛フリー条件でリフローを2 回行った。試験中はスルーホールのデイジーチェーン抵抗値を常時モニタし、抵抗値が±10 %を超えた時点で故障と判定した。 結果は、新規FPCのポリイミド厚25μ m、38μ mで5μ mの銅めっき厚においても1000cycで故障に至ることはなく、薄いめっきでのスルーホール信頼性を確保できることが判った。4.結言 分子接合技術を利用し、高性能で安価な両面フレキシブル配線板を実現した。また、製品に要求されるピール強度、柔軟性、屈曲耐性、高速伝送特性、スルーホール信頼性などの特性を評価した結果、一般両面FPC に比べ優位性があることを確認した。 実際に各種のアプリケーションに向けたサンプルを作成、実機でのテストも進んでおり、先に述べた本配線板の優位性が確認されている。現在、( 株) メイコーでは500 ×400mmサイズで2000平米/月のメタライジング処理ができる生産体制の構築が完了しており、量産化に向けたさらなる能力増強体制を構築中である。<参考文献>1)高徳誠、中丸弥一郎:“フッ酸処理によるポリイミドフィルム/ めっき皮膜間の密着向上”,エレクトロニクス実装学会誌,Vol.5 No.3,pp.190-196,20122)縄船秀美他:“ ポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂の表面改質を 利用するDirect Metallization に関する基礎的研究”,エレクト ロニクス実装学会誌,Vol.2,No.5,pp.390-393,1999