実装技術10月号2012年特別編集版

実装技術10月号2012年特別編集版 page 36/48

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421.緒言 フレキシブルプリント配線板(FPC : Flexible printedcircuit)は、米国において航空・宇宙機器用の配線板として開発され、現在ではスマートフォン、ノートPC,HDD などの様々な電子機器に採用されている....

421.緒言 フレキシブルプリント配線板(FPC : Flexible printedcircuit)は、米国において航空・宇宙機器用の配線板として開発され、現在ではスマートフォン、ノートPC,HDD などの様々な電子機器に採用されている。FPCは電気的な配線だけではなく、薄く、軽く、柔軟性があり、自在に曲げることができる特徴をもつ。 使用用途は大きく分けると二つある。 一つは、Flex-to-installと呼ばれる製品組み立て時にフレックス性を利用するが、組み込まれた後の製品使用時には可動しないものである。図1 は、薄型ノートPC でFPCを使った例であり、6 枚のFPC を使用している。薄型ノートPC には、モバイル性を追及するために薄型、軽量、長時間駆動、堅牢性が求められている。小型軽量化・薄型化を実現するには、メインボードとHDD、ODD、バッテリを重ねない設計とし、わずかな隙間に立体的に配置することができるFPC での接続が有効となる。また、電子機器の高速化に伴い、FPC上の伝送速度はGHzレベルに到達し、高速伝送特性を確保するため両面仕様のFPC が採用されている。 FPC のもうひとつの使用用途は、Dynamic flex と呼ばれる製品のライフサイクル中、繰り返し曲げるものである。屈曲回数は、HDDで108回台、光ピックアップで106回台、携帯電話のヒンジで105回台の要求があり、屈曲回数、使用温度、屈曲半径によってFPC の材料及び設計の最適化が図られている。 FPC には、上記のような使用用途、及び要求特性に加えてコスト低減が求められている。プリント配線板は一般的に、導体である銅と絶縁層である樹脂材料を交互に接合させることで形成される。密着強度が発現するメカニズムは、銅箔側のマット面形状または樹脂表面を粗化することによって形成される凹凸を利用した投錨効果と界面に働く分子間力で得ている。しかしながら、この凹凸の存在により、高精細なパターン形成を阻害したり、表皮効果の影響による高周波電送ロスの拡大をまねいたりといった弊害も多い。また、現製法、構造ではさらなるコスト低減を図ることは難しい。さらに、これらの粗化に用いられる薬液は一般的に環境負荷が大きく、削減が求められている。 これら課題を解決する方法として、絶縁材料の平滑面にダイレクトにメタライジングする方法がいくつか提案されている1)?6)。これらの技術の中には、耐熱性も含めたピール強度が製品仕様に満足できないものや、特殊な設備や材料が必要となり、生産性やコストの面で採用が難しく、いま(株)東芝/ 八甫谷 明彦(株)メイコー/ 宮脇 学、道脇 茂、瀧井 秀吉(株)いおう化学研究所/ 工藤 孝廣、森 邦夫ポリイミドフィルム上への直接メタライジング法による両面フレキシブルプリント配線板図1 薄型ノートPCでのFPC使用事例