実装技術10月号2012年特別編集版

実装技術10月号2012年特別編集版 page 28/48

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概要:
26IGBTにも大幅な低損失化が要求されていた。しかし、低損失化のキーとなる飽和電圧(Vce(sat))は、大電流機器で要求される高い負荷短絡耐量(tsc)とはトレードオフの関係にあるため、太陽光発電のパワーコンディ....

26IGBTにも大幅な低損失化が要求されていた。しかし、低損失化のキーとなる飽和電圧(Vce(sat))は、大電流機器で要求される高い負荷短絡耐量(tsc)とはトレードオフの関係にあるため、太陽光発電のパワーコンディショナなどで要求される10マイクロ秒の負荷短絡耐量を実現しつつ同時に低損失化を図ることは困難であった。 そこで、当社は、長年培ってきた低損失IGBT の設計ノウハウと、高効率化が図れる極薄ウエハ技術を用い、低飽和電圧と高負荷短絡耐量を両立することに成功し、第7世代IGBTシリーズとして製品化することにした。 この第7世代IGBTシリーズに共通の特徴は、①電力の低損失化の指標となる飽和電圧(IGBT の動作に必要な電圧)を当社従来の1.8V から1.6V に約12%低減し(※650V品の場合。1,250V品は2.1Vから1.8Vに低減)、かつ、②IGBTでは重要な破壊耐量である負荷短絡耐量を改善し10 マイクロ秒(μ s)以上を実現している(図4)。 このため、機器の低消費電力化と安定動作の両立に貢献できる。また、様々な機種に対応すべく、650V、1,250V、1,800Vの3種類の耐圧プロセスを開発し、また、30Aから200A(Tc=100℃時)までの豊富な製品ラインアップを揃え、出荷形態も『3ピンモールドパッケージ』と、お客様でのモジュール実装に対応するために『チップおよびウエハの出荷形態』を揃えている。   SiCパワー半導体 様々な機器の省電力化のためにスイッチングデバルネサスの高耐圧パワーデバイスの取り組み電子部品技術ルネサス エレクトロニクス(株)4イス(MOS-FET、IGBT)の性能が向上し低損失化が進む中、同一回路で使用されるダイオードにもさらなる高速スイッチング、低損失化が要求されている。こうした市場ニーズを受け、当社では、エアコン、通信基地局やPC サーバ、太陽光発電など高出力のエレクトロニクス機器向けに、パワー半導体用の次世代の新材料として注目されている炭化ケイ素(SiliconCarbide。以下、SiC)を用いたパワー半導体・ショットキーバリアダイオード(以下、SiC-SBD)を開発、製品化した。 これらの製品は、従来のSi素材のダイオードに比べ、逆回復時間(trr:オン状態からオフ状態に切り換えた際に規定の電流値に戻るまでの時間)を約40%高速化し、15ナノ秒(標準値:測定条件IF=15A、di/dt= 300A/ μ s)を実現し、さらに、SiC-SBD では、高温時における逆回復時間の劣化がないために、高温環境下においても低いスイッチング損失を維持することが可能である。さらに、1.5Vという低い順方向電圧(VF)を実現しており、また、その温度依存性が小さいために、従来のSi素材のファーストリカバリダイオードと比較して、高温時での安定した順方向電圧が得られる(図5)。 これら、SiC-SBD新製品は、業界標準のピン配置、及びパッケージを採用しているため、従来のSi素材のダイオードを搭載していたお客様のセット基板にも容易に実装することが可能となっている。 現在は、600V 耐圧、10A ~ 30A シリーズをラインアップしており、続けて1,200V 耐圧シリーズへの展開を図る計画である。また、ウエハ口径の大型化などにより、コスト低減と生産能力をさらに拡大していく予定である。図4 飽和電圧(Vce(sat))と負荷短絡耐量(tsc)の両立 図5 低VFと高速trrを兼ね備えたSiC-SBD