実装技術9月号2012年特別編集版 page 31/44
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概要:
33次元計測法の光学系概念図である。光源から出射した光は、短冊状の格子を通して測定物体に格子の影を投影する。この投影された格子像を、光源と違う角度より観察すると、物体形状により格子像が変形して見える。こ....
33次元計測法の光学系概念図である。光源から出射した光は、短冊状の格子を通して測定物体に格子の影を投影する。この投影された格子像を、光源と違う角度より観察すると、物体形状により格子像が変形して見える。これを変形格子像と呼ぶ。この変形格子像を、再びもとの格子(これを「参照格子像」と呼ぶ)と重ねて観察またはカメラで撮像すると、モアレ縞が等高線となって現れ、測定物の形状を知ることできる。 モアレをつかった3 次元計測法は、シンプルな光学系であり、かつ3 次元形状の等高線を視覚的に把握することができるため、脊椎側彎検査など医学分野で古くより利用されてきたが、形状を定量的に把握することが難しく、かつ、高さ方向の計測分解能も粗いため、エレクトロニクス分野で利用される例は少なかった。しかし、コンピュータの高速化による縞解析技術の進展により、近年、半導体パッケージのリフロー時反り計測など、エレクトロニクス分野においても利用が進んでいる。 このモアレ法を改良した反射型モアレ法は、光源から出射される光を平行光とし、かつ物体への入射角と物体からの反射角が等しくなるように光学系を配置した構成である。反射型モアレにより表面が鏡面状の測定物体の計測が可能になり、かつ平行光化によりモアレ等高線の縞間隔一定となるため、高精度な3 次元計測が実現できる。 さらに、この反射型モアレ法に位相シフト法を組み合わせることにより、ミクロンオーダの分解能をもつ形状計測を実現した。位相シフト法とは、モアレの等高線縞強度が周期関数であることに着目し、『位相』という情報に変換する方法であり、モアレ縞等高線間隔の1/100 程度の計測分解能を得ることができる。位相シフト法は格子パターンの位相をずらして撮像した複数の画像より解析する。本計測では、π /2位相の異なる4 枚の画像を取得している。2.鏡面・粗面同時計測を実現するCIOS光学系 反射型モアレ法は鏡面状の測定物体の計測に適しているが、撮像視野内に粗面と鏡面が混在していると反射強度のばらつきが大きく、同時計測が難しいという課題があった。 そこで、このような測定物体でも安定した計測ができるCIOS(Complimentary Irises Optical System)光学系を新たに開発した。図2にCIOSの基本光学系を示す。基本的な原理は、投影光学系の絞り面と受光光学系の絞り面に、それぞれ相補する形状の絞りを設ける構成であり、この投受光絞りが相補形状になっているため、光強度の大きい正反射成分はカットし、光強度の弱い拡散反射光成分でかつ、正反射角度に近い反射成分のみをカメラ(撮像素子へ)入射させる。これにより、測定対象の面粗度が変化しても、撮像素子が飽和したり、また光強度不足により精度低下を起こしたりすることを防ぐことができる。4.計測例 CIOS 光学系反射型位相シフトモアレ技術を用いた3 次元計測の測定例をいくつか紹介する。図1 反射型モアレ法の光学系概念図図2 CIOS光学系原理説明図