実装技術8月号2012年特別編集版

実装技術8月号2012年特別編集版 page 35/48

電子ブックを開く

このページは 実装技術8月号2012年特別編集版 の電子ブックに掲載されている35ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
49図6 デザイン開発におけるデジタルマニュファクチャリング化(トヨタ自動車提供)1) まず、クレイモデルの測定データをデザインCADに渡す。次に、3次元グラフィックス上で、デザイナーの意図したモデル形状作成....

49図6 デザイン開発におけるデジタルマニュファクチャリング化(トヨタ自動車提供)1) まず、クレイモデルの測定データをデザインCADに渡す。次に、3次元グラフィックス上で、デザイナーの意図したモデル形状作成を行うため、キャラクタライン、面創成、フェアリング(形を整えること)を重ねる。そして、デザイン部門の3次元ソリッドCAD/CAE/CAM/CAT/Networkシステムでモデル作成したデータを基にして、同時5軸制御のNC工作機械で1分の1クレイモデルを作成する。5.デザイン情報のデジタル化 デザイナーのもつ感性や経験値によるアナログ情報を、CAD を用いてデジタル情報にすることにより、クレイモデルレスも実現でき、後工程の作業能率や精度はきわめて向上する(デジタルマニュファクチャリング)。 デザイン部門で作成したモデル形状データは、次工程の製品設計、金型加工、製品検査など……どの部門であっても使えるようなデータであることが望ましい。これを『データの一元化』または『PLM データベース(ProductLifecycle Management Data Base)』という。 現在では,3 次元CAD によるデザインが積極的に行われている。例えば、スタイリングデザインからエクステリアボディーまでの各部品の基本形状作成の際の面データのスムージング作業(ハイライトおよび曲率変化を滑らかにする。デザイナの美的要求の1 つ)では、人間の持つ感性基準(アナログ量)から、数値基準(デジタル量)に置き換えられて作業が行われるようになった。 デジタル情報を基準としたデザインCADによるプロセスを概観すると、図6 に示すようになる。 図6の横軸は時間を示し、コンセプト段階、アイデアの具現化と立体化の段階と進む。縦軸は作業を示し,CAS,CAD,CAM の各工程の階段を下るように進む。 ここで注目しておきたいことは、デザイン内部で、デザインに関する複数の作業が並列化され、分散作業が進められることで、全体の効率が非常に良くなることである。 例えば、並列作業の際、デザインと設計部門との間で食い違いやミスがないように、関係者合同でミーティングが行われる。すなわち、これが先述のコンカレントエンジニアリングである。6.統合CAD化とは 従来のような2次元の製作から、3次元CAD/CG活用への移行を図っており、自社開発ツールのレンダリング機能やその精度などを強化している。その1 つとして、トヨタ自動車では、1995 年から統合CAD 化が進められた。 トヨタ自動車のデザイン部システム室では、デザイン業務の統合化のシステムとして、コンセプトやイメージなどの意匠を具現するシステムとして、3次元CGソフト『AliasStudio』(オートデスク)と2 次元CGソフト『Photoshop』(アドビ システムズ)をメインに採用している。また2 次元データを立体化するにあたってはサーフェスモデラ(3次元スタイルCAD)の『STRiM100』を用いる。 ここで見ておきたいのは,2 次元のPhotoshop で作成したデジタル情報を3 次元スタイルCAD で活用する点である。まずPhotoshopで作成した実車モデルをそれぞれ『xy』『yz』『zx』の2 次元座標に展開する。次に、対応する番線で高精度に割り付けられた座標値から、立体空間に配置された3次元モデルの実車体(ワイヤフレームモデル)をスタイルCAD で作成する。さらにそれを基にして、上の図2で示したように、クレイモデル製作用の直彫りデータ(NC データ)を支給する(次回以降に説明する)。この工程においても、いかにデジタル情報を一本化および共有化して、効率よく次の工程に現作業をもっていくかが鍵となっていた。引 用 文 献1)武藤一夫、進化し続けるトヨタのデジタル生産シス  テムのすべて、技術評論社、20072)http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/   data/tdnr2/tdnetg3/20120409/7eumz7  /140120120409007315.pdf