実装技術8月号2012年特別編集版 page 32/48
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46士の意志疎通が取りにくい、開発期間が長い、デザイナ偏重など、深刻で大きな問題を抱えてきた。 現在、トヨタ自動車では鋭意情報化を推進することでデザイン業務の一層の効率化を図るべく、試行錯誤の最中である....
46士の意志疎通が取りにくい、開発期間が長い、デザイナ偏重など、深刻で大きな問題を抱えてきた。 現在、トヨタ自動車では鋭意情報化を推進することでデザイン業務の一層の効率化を図るべく、試行錯誤の最中である。デジタル情報を使えば、いつでもどこへでも瞬時に送れるようになり、その情報確認や検証は出張せずとも的確に行えるようになる。 すでに実クレイモデルの時代からクレイモデルレスのデジタル情報の時代に移行している。主たる目的は、上述した開発期間の短縮以外に、リードタイムの短縮、品質の向上である。現在、企画後18 ヶ月の開発期間が必要であるとされるが、これを12 ヶ月、6 ヶ月というように短縮することである。リードタイム短縮に関しては部内の仕事の流れはもちろん、後工程との密接な連携、すなわち設計部門とのコンカレントエンジニアリング(CE ゙)やサイマルテイニアスエンジニアリング(SE ゙)の推進が積極的に行われている。2.コンカレントエンジニアリングとは 図3 は、新車開発の全工程を短縮するための『コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering:CE)』( または『サイマルティニュアス(SimultaneousEngineering:SE)』)の概要である。 以下、トヨタ自動車におけるSE 技術についてみてみる。CAD システムを中核として、各種資料、モデル、イメージスケッチ、図面などをリンクした、統合デザイン支援システムとして展開している。■『後工程との連携』 ボディ開発工程との連携を緊密に図るために、形状データをタイムリーに設計、生産技術といった後工程に提供するために、新車開発のリードタイム短縮を支援する態勢を調えている。①設計へのアイデアの初期段階から、意匠面データの提供、 設計検討の支援を行っている②生技部門へ、マシニングセンタ等の工作機械への直彫り 可能な高品質な面データの提供を行う ①、②における各機能別のCAD システムをトヨタ自動車全社的に『統合CAD / CAM』化する。つまり、プラットフォームの標準化を進める。「昔は企画で決まったスケジュールに沿っておこなうことがおおかたので、比較的楽だったように思う」(第1 デザイン部長)。 つまり、基本的には4 年に1 回のフルモデルチェンジ、2年くらい経過後のマナーチェンジに対応してスケジュールを組んでデザインをしていれば良かった。ところが現在は、カスタマのニーズに即対応するため、「開発する車種のスケジュールがすぐに変わる。計画よりも1 年延期になるかもしれないし、前倒しになるかもしれない。デザインはしても発売されないかもしれない」。第一デザイン部長のコメントを整理すると次のようになる。(1)マーケットの動向に合わせてプロジェクトの変更を検 討している。具体的には、A、B のプロジェクトがある 場合、RV 車の人気などの影響で順番の入れ替えが頻繁 にある。こうした変更に柔軟に対応できるようにして いる。(2)通常、市場ニーズを踏まえた企画からデザインコンテン ツが決まる。しかし、デザイン期間短縮から派生して、 デザイン内部から、デザイン・コンセプトが決まること もある。まさに、今回のアルテッサはそのように決まっ た。(3)デザイン部門だけの期間短縮だけではなく、新車開発の 全工程を短縮するために(図3 に示したように)コンカ レントエンジニアリング、サイマルテイニアスなどを積 極的に推進している。デザイン後の工程は短ければ短 いほど良い。つまり、フリーズ後の期間短縮。このため に、デザイン部としても次工程の設計部門で使えるデー タを作成している。 サーフェイスの面情報としてスタイル面があり、基本的には図3 トヨタ自動車におけるサイマルテイニアスの推進状況1) これらが設計に渡される。トヨタでは後述する