実装技術8月号2012年特別編集版 page 27/48
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41 これまで筆者は、本誌において、マイクロスコープを活用して抜き取り検査での判定事例を紹介してきた。マイクロスコープは品質管理部門や生産技術者だけが使用するのではなく、現場の作業員専用としてラインフロ....
41 これまで筆者は、本誌において、マイクロスコープを活用して抜き取り検査での判定事例を紹介してきた。マイクロスコープは品質管理部門や生産技術者だけが使用するのではなく、現場の作業員専用としてラインフロアに設置し、現場に自由に活用させるのが理想である。実際に、1,000 人以上の従業員のいる工場で、そのような導入をしたことで、不良率2ppm 以下を達成している事例もある。 筆者がこの工場を訪問した際には、ラインのそばに置かれたマイクロスコープで、すでに撮影してある基板の写真を見比べながら、担当者が現状と過去の不良事例についての解析と対策を話し合っていた。不良対策ではまず解析時にいくつかの仮説を立てて、それに基づいて再現実験を行う。この実験には簡単な道具を用い、理論的な可能性の確認程度で十分であるが、ここで大切なのは成果を出すことではなく仮説実験時の条件の変化がどのような結果の変化に繋がるかを確認することである。これにより、次に起こる不良に対するノウハウが蓄積されて、早く対応することができる。通常、これらの対策方法は一つではないので、その時々、生産時の条件で根本的な対策と応急処置と分けて行うことも可能である。不良率(部品点数換算)が10ppm以下になると、発生した不良を検査後に修正するのではなく、すぐにラインを止めて対応する方が結果としてコストメリットがでるのと同時に、検査工程の見直しに繋がる。2.現場での人材教育事例1.フラックスの効果と役割 はんだ付けの基本は手作業である。フラックスの役割や効果を確認するには、糸はんだを使用して現場で簡単な実験で確認する。実験時は、仮説を立てて理論的な説明が可能かどうかを検証する。実際の現場では、前提となる部品めっきや基板材質・品質及び設計が絶えず変わるので、特に確定的な答えを求める必要はない。 フラックスは部品や母材表面の酸化物を除去して金属表面を清浄にし、すずの母材への拡散を通して接合させるが、母材の酸化状態が強いと十分なフラックス効果を得ることができず、接合不良(いもはんだ・ル?ズはんだ)になる。①こてを先に母材にあてる(予備加熱を行う) こてを先に母材にあて、予備加熱を行うと、母材の表面酸化が進み、フラックス効果が十分に得られない。こうなると、はんだは溶けるものの、完全な接合ができない(図1)。②はんだを先に供給しその上からこてではさみ込む (はさみはんだ) 本来、はんだ付けできないといわれてきたステンレスでも、図2 のような手順であればはんだ付けが可能になる。図2フラックスが母材表面に広がり、こて先の熱による再酸化を防ぐ。ステンレスを折り曲げても剥がれないはんだを先に供給し、その上からこて先をあてる(はさみはんだ)。通常の予備加熱は省かれている