実装技術7月号2012年特別編集版 page 30/38
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40ためなら時間がかかっても行うということがわかる。一方、リサイクル時の視点から見ると、故障時に比べて分解する比率は約20 ポイント高いものの、分解するための許容時間は、最大1/3 短いことがわかる。リサイク....
40ためなら時間がかかっても行うということがわかる。一方、リサイクル時の視点から見ると、故障時に比べて分解する比率は約20 ポイント高いものの、分解するための許容時間は、最大1/3 短いことがわかる。リサイクルには総論賛成するが、手間はかけたくないのが本音といえ、今の実情を表した結果といえる。3.製品開発への要求 リサイクルのためのソーシャル・マニュファクチャリングの実現で必要なのは、やはり、メーカーによる生活者でも簡単に分解できる製品を開発することである。では、どんな要求があるのだろうか。分解しやすい設計は、専門的には『分解性設計』という。分解性設計には、部品の配置、単位、形態について考察するフレームデザインと、部品の形状、材質、取扱条件などを具現化するパーツデザイン、部品間の結合方法の選定するジョイントデザインがある。携帯ゲーム機の調査結果を例に各デザイン別の要求事項を見てみよう。 図4 に示す通り、フレームデザインに関連する要求事項は調査結果から、『ふたを開けたら分解する部品がすべて見える工夫』が21.5 %もあげられ、いずれの対象製品においても同様の傾向だった。したがって、フレームデザインにおいては、分別レベルを前提とした部品の『開口側への配図4 ソーシャル・マニュファクチャリング製品への要求置』や『同一作業面への集約』が要求される。 ジョイントデザインでは、『家にある工具で分解ができる工夫』が19.8 %だった。また、自分で分解してリサイクルのために分別するとしたら、どの工具がよいかという質問では、『ドライバ』は86.7%と高い値だった。このため、ジョイントデザインにおいて結合方法は、スナップフィット、ねじ止めに限定されることが理解できる。 パーツデザインにおける要求事項は、『分解する部品にマークが表示されていて分解の順番がわかる工夫』23.1 %となり、他の対象製品においても同様の傾向であったことから、部品への分解手順や材料名などの情報の表記が求められる。 使用済みの製品、いわゆるリサイクルをする前の廃棄物を海外に持ち出すことは、国際的な秩序はもとより規制の観点からも許されない。その意味で、安価な労働力を求めて空洞化した生産と異なり、リサイクルは決して国内からなくならない『ものづくり』である。ソーシャル・マニュファクチャリングは、資源循環の実現とともに、新しいかたちのものづくりの定着として期待できるであろう。<参 考 文 献>山際康之:組立性・分解性設計、講談社(2011)