実装技術7月号2012年特別編集版 page 28/38
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38ように、ハードディスクなどの周辺機器はオプションを追加している。古くは、ラジオも組み立てキットがあった。ソニーでは、長らく、組み立てラジオキットという製品を販売してきた。ラジオの機能としての魅力と同....
38ように、ハードディスクなどの周辺機器はオプションを追加している。古くは、ラジオも組み立てキットがあった。ソニーでは、長らく、組み立てラジオキットという製品を販売してきた。ラジオの機能としての魅力と同時に、造る楽しみを提供する製品である。こうした価値が長い間の隠れたヒット製品へとつながったのだと思う。 次に、製品の使用段階である。扇風機やこたつなど、夏季、冬季に限定して使用し、それ以外の期間は分解収納して使い続ける『ロングライフモデル』がある。換気扇は外装カバー、ファンなどを取り外し清掃することを前提として工具を用いずに分解できる構造になっている。また、消耗品を交換するプリンタのインクカートリッジも同様のことがいえる。こうした、清掃、消耗品の交換を目的とした製品は『メンテナンスモデル』といえるだろう。 PC は、メモリの増設を行うために、カバーを取り外すとすぐにセットできる配置の構造になっている。スマートフォンの着せ替えケースは自分の好みの色へのカスタマイズである。こうした製品は、『アップグレードモデル』といえる。 最後に、排出段階では、シャンプーボトルに代表されるように、容器の中身を詰め替えにより繰り返し使う『リユースモデル』がある。 さて、『リサイクルモデル』であるが、ここでもさまざまな例がある。たとえば、食品ラップは、包装箱と金属刃を分離することが容易なっており、包装箱、中芯の紙類と刃の金属に分別することができる。ペットボトルは、キャップとボトルに分離されるが、さらにボトルに貼り付けられているラベルはミシン目がついているため容易に分離できる工夫がされている。また、ボックスティッシュも同様にミシン目がついており、コンパクトに折りたためる。小型家電の電動歯ブラシは、内部電池を適正に処理するためにドライバで取り出すことができる。 このように私たちの身の回りには、生活者自身がものづくりに参加するさまざまなソーシャル・マニュファクチャリング製品があることがわかる。 排出段階での『リユースモデル』や『リサイクルモデル』は資源循環に有効であるが、使用段階での『ロングライフモデル』『メンテナンスモデル』『アップグレードモデル』も長寿命化になることから有効な方法といえる。また、生産段階における『リデユースモデル』や『ホビーモデル』は、生活者自身が組み立てることにより製品に対する愛着がわき、やはり長く使い続けることが考えられる。このようにソーシャル・マニュファクチャリング製品は資源循環において、大きな役割をはたすのである。3. 生活者の意識 ソーシャル・マニュファクチャリング社会の実現は、生活者の主体的な参加が不可欠である。そこで、20 ?60 代の男女の各100 名として合計1000 名に対して生活者の意識調査をインターネットを用いて行った。 まず、どのような製品が適しているかを聞いてみたところ、『大量に消費されているもの』(43.6 %)、『大きくてじゃまのもの』(30.3 %)、『すぐに消費してしまうもの』(13.5 %)という結果になった。具体的な製品例としては、複数回答結果として、『パッケージ』(57.9 %)、『家具』(32.4 %)、『家電製品』(31.9 %)があげられた。 このうち家電製品は、携帯ゲーム機、デジタルカメラなどの小型を対象にリサイクルの制度化の検討がすすめられている。小型の家電製品は、手軽に使用できる、場所をとらない、持ち運びが便利、という製品機能によるメリットをもつ半面、小型のために容易に廃棄できてしまうことや、使用しないがとりあえず保管してしまいがちである、行き先が不明になる、などの、資源循環においてはデメリットの側面をもち合わせている。 そこで、電動歯ブラシ、電気シェーバ、携帯電話・スマートフォン、携帯音楽プレーヤ、携帯ゲーム機、デジタルカメラなど13 品目の小型家電製品を対象に、リサイクルのためのソーシャル・マニュファクチャリングへの参加意識や製品開発への要求を中心に質問を行った。また、調査結果の比較分析を行うために製品の修理時においても同様の質問を行いた。1.分解の経験 日常生活において、趣味や仕事での、分解を含めたものづくりは、対象者のうち46.2 %が行っており、そのうち、86.8 %は日曜大工、カルチャースクールでの製作活動などの趣味に6.57 時間/月を費やしているのが現状である。メーカーによる国内でのものづくりは減少傾向にあるが、生活者のものづくりは旺盛である。やはり日本人はものづくりが好きなのであろう。 過去に家電製品を分解したことのある経験は、『ディスクPC』(22.0 %)、『ノートPC』(16.2 %)、『ドライヤ』(12.4 %)、『リモコン』(10.7 %)と続く結果になった。家電製品を分解した人は予想以上に多くいることを感じたが、その理由としてはいずれも『点検や故障を修理するため