実装技術6月号2012年特別編集版 page 34/54
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32FR-4 市場が、昔のように、その中心となる樹脂組成が従来のフェノール樹脂からエポキシ樹脂に置き換わったような材料革新とはまた別の原理で市場が動いている、ということを意味する。 UL は旧来からの材料分類に....
32FR-4 市場が、昔のように、その中心となる樹脂組成が従来のフェノール樹脂からエポキシ樹脂に置き換わったような材料革新とはまた別の原理で市場が動いている、ということを意味する。 UL は旧来からの材料分類にこだわった結果、最終製品の安全にも何の寄与もなく、性能的にも意味のない無意味な分割案(費用だけが増加)を提出した結果、世界から『No』を突き付けられたわけである。 それでは、今、FR-4 の市場を動かしている最大の要因は何であろうか。筆者は、それは『実装革新』であると考えている(図2)。実装の歴史をひも解けば、昔の個別挿入部品実装、半導体の登場によって挿入型実装(DIP)、QFP などの表面実装そして現在のBGA(CSP)実装、ベアチップ実装と、実装の世界は大きく革新し、全世界の人々がスマートフォンやタブレット端末など、昔では夢の世界でも考えられない性能の小型電子機器を低価格で購入できるようになった4) 。 筆者は、その中でもBGA実装がFR-4基板の革新に大きく繋がったと考える。過去の実装技術の場合、基板は単に部品を搭載しておくための支持体でよかった。したがって基板としてのグレードが整備され、新たなことを考える必要はなかった。部品が半導体化されることによって、きわめて微細な回路を人間が実際に使いこなすサイズまで変換する経路が必須となり、DIPやQFPなどが回路密度の向上と共に考案された。これらはPKGと総称されるが、PKGがはたしてきた高品質なプリント配線板製造を実現するガラスエポキシ銅張積層板(FR-4)の再区分化を考える合成樹脂工業協会(JTPIA)機能は単に回路サイズの拡大だけではない。半導体の実装では金属であるシリコンと有機材料であるFR-4基板との間には大きな熱膨張率(CTE)の差があり、本質的に熱ストレスが発生する。PKGはその応力緩和を果たしてきた役目もあった。部品のリード自体がそうであり、QFPの中でシリコンチップはリードフレームという大きな応力緩和作用のある支持体に半固定されていた。この関係が大きく変わったのはBGAが主役に変わってからである。BGAは大規模なもの(グラフィック処理や3D処理など)では端子の数は600を超える(25×25、32×32など)ようにもなった。また、高速処理(パワーの直接接続)のために電源入出力端子も格段に増えた。このため、コア基板であるシールド層も高多層化するとともに、BGAの内周側の信号ラインを外部に引き出すためにビルドアップ型の高密度配線板(HDI)も必須となった。これだけでも新たな材料開発が多数必要であるが、さらにBGAにはFR-4との接合の際の応力緩和部分が乏しく、BGAとFR-4とを一体の構造としてとらえないと回路設計ができなくなってしまった。今となっては過去の話であるが、携帯電話が登場したころ、何でもない高さ(例えば机上)からの落下によって携帯電話はあっさりと壊れるという問題に、設計者は皆、悩まされたものである。結果として落下の衝撃による基板のたわみ振動がBGA(CSP)の接続構造を破壊することが判明し、設計に活用することで、今はそういう事故は皆無である。 BGA とひとまとめでいっても、その内部構造は基板(セラミック、有機基板、フィルム基板)、チップの取り付け向きや接合(金/銅ワイヤ、フリップチップ, ランドグリッドアレイなど)など千差万別であり(図3)、これらはFR-4との結合性に大きく影響を与える。このように実装が多様化した中でFR-4も同じく多様性をもった物性に変化せざるを図2 実装革新(東芝ホームページより) 得なかったわけであ