実装技術5月号2012年特別編集版 page 16/40
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14ものづくりにおける環境対応の諸動向を探る『地球環境』を守るための施策を探る12 地球環境を守る必要性 生物学者レイチェル・カーソンは、春になっても鳥の鳴き声が聞こえなくなった現状をみて、その原因は....
14ものづくりにおける環境対応の諸動向を探る『地球環境』を守るための施策を探る12 地球環境を守る必要性 生物学者レイチェル・カーソンは、春になっても鳥の鳴き声が聞こえなくなった現状をみて、その原因はDDT などの農薬や化学薬品にあるのではないかと疑い、今から50 年前の1962 年に『沈黙の春』という本を出版した(写真1)。この書籍は人々にDDT などの農薬によって地球環境が蝕ばまれ、傷ついていることを気付かせるものであった。大量生産される化学物質を気にもせず使って、しかも多量に散布される農薬や化学肥料によって、周辺の環境に影響を及ぼしていることに気付かずにいた。散布される農薬もその効能は100 %ではなく、多くの農薬が河川に流れ、環境を汚していたのみならず、土地も弱り、農作物にも影響を及ぼした。 春になっても鳥の鳴き声が聞こえてこなくなったのはなぜなのか、という素朴な疑問は、大きな警鐘を鳴らすものであった。まさにこの書籍は人々に良い環境を維持するにはどうしたら良いかということを示し、あるべき方向に持っていくことが必要との考えとなった1)。 1960 年代から始まった環境問題の指摘は、1970 年代になって地球規模の問題となり、1972 年にスウェーデンのストックホルムに113カ国が参集しての政府間の環境関係の国際会議となった。 これが国連人間環境会議 (別名:ストックホルム会議)で、『かけがえのない地球(Only OneEarth)』という会議テーマで議論された。地球は一つしかなく、そのかけがえのない地球を今後、どうするかといった観点から議論された会議となった。そして、人類共通の課題となってきた地球環境問題について、 ① 26 項目の原則からなる『人間環境宣言』 ② 109 の勧告からなる『環境国際行動計画』などが検討された。環境問題が地球規模で検討されといってもよいかと思う。 モアイ像で有名な、かつて森林で囲まれたイースター島は、人口増に伴って燃料にするために木を伐採して、挙句の果てには島から脱出するための船を作る木材もなかったとも言われる。そして争いとなり、破綻する結果となった。 今後の地球は2048 年には90 億人の人口となることが予測され、エネルギー、食料などの供給問題を抱え込みイースター島のようにならないように“ かけがえのない地球” を大事にしなければならない。そのためにも地球環境を守っていく必要がある。 地球環境を守るための 有害物質管理 ストックホルム会議から20 年後の1992 年になるとブラジルのリオ・デ・ジャネイロで『環境と開発に関する国連会議』が開催され、この時に、 ①温暖化防止のための気候変動枠組条約の署名 ②生物多様性条約の署名 ③環境と開発に関するリオ宣言 ④アジェンダ21 ⑤森林原則声明などが合意された。 1990年代になると年々、増加する廃棄電気・電子NPO 法人 日本環境技術推進機構 横浜支部 / 青木 正光写真1地球環境を守る必要性を喚起した書籍、レイチェル・カーソン『沈黙の春』(新潮文庫版)