実装技術3月号2012年試読 page 24/26
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概要:
525. 電源設計 電池駆動の携帯電子機器でも電源回路はあります。電池は決まった1つの電圧しか供給しませんが、ICは異なる電圧の電源を必要とします。このため、DC-DC 電源回路を使い、異なる電圧の電源を作り出して....
525. 電源設計 電池駆動の携帯電子機器でも電源回路はあります。電池は決まった1つの電圧しか供給しませんが、ICは異なる電圧の電源を必要とします。このため、DC-DC 電源回路を使い、異なる電圧の電源を作り出しています(図5)。そのため、熱設計と同様に、この電源回路でも最適設計をおこなう必要があります。 IC の消費電力に対して充分余裕のある容量の電源を設計しておけば良いように思われますが、それでは過剰設計となり、無駄が生じます。また電源の容量を大きくすると、それに使うコンデンサやコイルなどを始めとする部品も大きく高価になります。容量に余裕があり、なお、部品の大きさや価格が変わらない範囲での電源回路設計をおこなう必要があります。 このような最適電源設計をおこなうためにはIC の消費電力の正確な情報が必要となります。 熱設計では、瞬間的な消費電力の変化は問題になりません。ある程度の時間での平均化された発熱量が分かれば、充分です。しかし、電源設計では、IC の瞬間的な消費電力の増大によって、電源電圧が瞬間的に低下(瞬断)すれば、機器が誤動作したり、停止したりしてしまいます。 このような瞬間的な急激な電圧変動を防止するために、電源回路には大容量コンデンサ(バルクコンデンサ)が組み込まれています(図6)。このコンデンサでカバーできる以上の電源変動が発生しないようにする必要があります。このためには数十KHzから数百KHz 程度のIC の消費電流の情報が必要となります。6. SSOノイズ、ジッタ 信号が高速になり、IC の消費電力が大きくなるに従い、PIとかPDNと呼ばれる電源解析必要性が大きくなってきます。 PIは(Power Integrity)の略で、伝送線路で信号波形がどのように変化するかを解析するSI(Signal Integrity)に対応する言葉です。PIでは信号の同時スイッチングノイズ(SSOノイズ=SSN)などによる電源変動が信号に及ぼす変化を解析します。 電源変動を解析するためには電源の供給回路の検討が必要です。この電源供給回路をPDN(Power DistributionNetwork)と呼びます(図7)。 信号の同時スイッチングで発生するノイズは信号の立ち上がり、立ち下がりでの信号電圧変化速度(スルーレート= Slew Rate)に関係します。信号が高速になると、信号のスルーレートが速くなり、電源供給回路(PDN)を通して供給されるIC 電源電流よりもSSOによるIC 電源の電流変化の前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図7 PDN図6 電源の大容量(バルク)コンデンサ図8 SSOノイズ図5 基板上のDC-DC 電源