実装技術1月号2012年試読 page 9/24
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29海外拠点で生産した実装品における信頼性の確保 ~流出不良が増加している現状とその対策~はんだ関連技術STC ソルダリング テクノロジ センター去トラブルの解析や研究結果から粒界腐食を抑制するための技術や管....
29海外拠点で生産した実装品における信頼性の確保 ~流出不良が増加している現状とその対策~はんだ関連技術STC ソルダリング テクノロジ センター去トラブルの解析や研究結果から粒界腐食を抑制するための技術や管理などの対策が取られ、またNi-P/ Au フラッシュ基板を使用する側も、発生し得る粒界腐食の程度を信頼性評価によって市場リリース後に問題となるか否かの検証を行い、量産体制に入るようになってきた。そのため、上述の通り粒界腐食が致命的な製品故障に発展しないケースが一般的になってきたといえる。 第1 節で記載したように、今現在、はんだ実装に関わる量産体制が大きく変貌しようとしている。ではこうした中で、前節で述べたような信頼性評価や品質管理を海外拠点においたとしたら、それを充分に機能させることは可能であろうか?今現在、当社の元に来る故障解析依頼やコンサルティングの内容をみる限り、充分に機能しているとはいえない。 そこで、中国基板メーカーで製造されたNi-P /Au フラッシュ基板の評価事例を紹介する。Au フラッシュめっき部の評価として、アンモニア-過酸化水素によるソフトエッチング耐食試験を行った。常温によるソフトエッチングで浸漬時間は30secである。下図3 に示すようにAu 表面に多くのピンホールを確認した。 Au は耐食性が高く、一般的な使用環境において腐食されることは少ない。しかし、Au めっき部にピンホールが発生していた場合、またそのピンホールがNiめっきまで到達している場合、Auが陰極となりNiが陽極となるガルバニ電池が形成され腐食が加速される。この場合の腐食は、電解腐食(ガルバニックコロージョン)と呼ばれる。通常、異種金属接触部を流れる電流は、イオン化傾向の小さい貴な金属から大きい卑な金属へ流れる。しかしガルバニ電池を形成している箇所では、卑な金属から貴な金属へ逆に電流が流れる。その結果、卑な金属は金属イオンとなり溶け出すと同時に、電子が貴な金属へ移動する。Ni-P /Au フラッシュ基板では、下地のNi が腐食し、腐食生成物がAu めっき表面へ移動していく。当然、この腐食生成物がAu 表面へ達した場合、はんだぬれ不良である未はんだやはんだ弾きの原因となり得る。 次に粒界腐食の程度を調査した。今回は鉛フリーはんだSn3.0Ag0.5Cu にて、白光(株)製のソルダリングポット『FX-301j』を使用し、240 ℃で5secはんだDip の後、断面によるSEM 観察を行った。図4 に金属顕微鏡写真によるはんだ接合部の全体像を、図5 及び6 にSEM 写真による粒界腐食を示す。図3 Auフラッシュめっき表面のピンホール図5 SEMによる粒界腐食観察 ①図4 粒界腐食観察箇所