実装技術1月号2012年試読 page 21/24
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58これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第10回 LSIの消費電力1. LSIの消費電力が問題 モバイルDDRでは消費電力の低減と、大容量、高速という能力向上との矛盾する要求に応えるために新しい技術を導入しています。....
58これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第10回 LSIの消費電力1. LSIの消費電力が問題 モバイルDDRでは消費電力の低減と、大容量、高速という能力向上との矛盾する要求に応えるために新しい技術を導入しています。この事情は、メモリを使うMPUでも全く同じです。 現在、IC の集積度の向上によるIC の消費電力の増大は最大の問題になっています。特に、電池駆動のスマートフォンやタブレット端末などの携帯機器では機能向上とバッテリの持続時間延長という相反する要求があります。 機能向上のためには搭載するCPUの処理能力を高め、より多くのメモリを使う必要があります。しかし、携帯機器ではバッテリの駆動時間は大きな性能の要素になっています。バッテリの容量増加による駆動時間増加のアプローチはありますが、バッテリ自体の技術革新による、容量増加は、IC の消費電力増加に追いつきません。バッテリを多く積めば、機器の重量と体積が増加して、これも小型軽量化という重要な性能への影響が大きくあります。最近では、特に携帯機器ではMPUやSystem ICの選択の第一条件は消費電力になっています。 さらに、大規模サーバでも電力事情から、消費電力に関心が高まり、低電力MPUが求められています。このため、IC 開発の重点は高速化が最大の目標であったものが、省電力化に移ってきています。 現在、MPUチップでは、これまで言われてきたMIPS (million instructionsper second) やFLOPS (FloatingpointOperations Per Second) などといった、1秒間にどれだけの処理能ができるかの単純な処理能力から、1ワット当たりの処理能力に指針が移ってきています。 たとえば、CPUは一時代前までは、速度競争をしていました。クロック速度がCPU の性能の尺度として使われてきました。しかし、ここ数年、クロック周波数はわずかしか延びていません。それに変わり、処理能力向上のために、マルチプロセッサ(マルチコア)化が進んでいます(図1)。これは、IC の集積度が上がり、複数のコアを1チップに集積できるようになったためだけではありません。高速化による消費電力の飛躍的増大を抑えながら、CPU の高速化を図る手法なのです。 現在の論理素子の基本となっているCMOS 回路は、高速になると飛躍的に図1 最新MPUはマルチコア(Intel Quad Core i7)図2 CMOSは高速になるほど消費電力が大きい